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自分が死んで、火葬するとき、棺に本を入れたいのだけれど、たくさんは持っていけないので、何冊かを選び抜かなければならない。その選び抜く一冊に山田詠美の「蝶々の纏足」がある。 ・・・・と解説の吉本由美さんが言っているのですが、まったくその通りです(笑) 吉本由美さんの書く文章って、小説もそうなんですが、この解説もすごく分かりやすくて、等身大で、うなずけるんですよね〜。個人的に。 この解説とかも、解説っていうよりは、むしろ、「山田詠美のファンです」って公表してるだけの気もするし(笑)そこが彼女の魅力なんですが。 ・・・・・・・・・って、今回は吉本由美さんの紹介ではなく、山田詠美サマの中篇2作品を推薦です。・・・・・・・・・でも私の言いたいこと、吉本さんが全部言ってくれちゃってるので、あとは文庫の解説を読んでください ![]() というわけにもいかないので、もう少しつづけま〜す。 「蝶々の纏足」っていうこの題名からして、もう山田詠美だなぁ・・・と。 以下、あらすじです。 お隣に住む幼馴染のえり子は、美しく、裕福で、とても魅力的な女の子。けれど、彼女は美しいだけでなく、ずる賢かった。自分の魅力をアピールするために、常に地味で愛想のない、色の黒い、可愛げのない「親友」を傍に置いていたのだ。その親友こそが主人公の瞳美。瞳美はえりこの「親友」という呪縛から逃れるために、はじめて男の子と寝る。男の子と二人だけの空間を作ることにより、えりこの知らない自分を見つけることができたから。 この「微妙〜な女の友情」というのは、女の子ならみんな頷けるのではないでしょうか。 なんか、妙に、べったり、しっとり、重たくって、でも離れられない。 そんな「微妙〜な友情」に「蝶々の纏足」という名前をつけてくれたんですね。AMY。。。 (以下抜粋です) そりゃあ、ひとりの人間は本当にちっぽけ。でも、憎らしいことに、あの女の子は私の心に頑丈な杭を打ち込むってことをやってのける。その杭は時間を吸い込みながら深く心に浸透して行く。そして、それは化石に変わった今でも、ふとしたはずみに心の奥底でこつこつと音を立てて、その存在を私に思い起こさせる。そして、私は思い出す。ああ、私、纏足をされているのだっけ。 私は突然、歩けなくなる。地面にうずくまって、まるで逃げ出せない娼婦。(中略)切り開かれた胸。そこには化石がある。それを取り巻く暖かい膿は、とろりと流れてあたりを汚す。私は、これを切り売りして、これから生きていかなきゃならないの。そう思うと、突然、足枷は外れる。私は自由になる。けれど気は許せない。私、心に纏足を飼っている。 こんな文章を書かれたら、もう、本当に、お手上げだなぁ〜。。。。魅せられちゃって。 そして、この文庫にはなんと「風葬の教室」という珠玉の作品も収録されているのです。 以下あらすじです。 主人公は小学生の本宮杏。父親の仕事の関係で、転校を繰り返していて、今回は東京から田舎の小学校へ転入してきました。そこには「田舎くさい」というよりも「精神的に子供」な子供たちばかりがいました。なるべく人間関係に支障をきたしたくない杏は、最初は上手に友達づきあいをしていましたが、やがて、彼女の都会的な雰囲気に嫉妬した同級生たちによって、陰湿な「イジメ」を受けるようになります。自殺まで考える杏。けれど、とある人の些細な言葉で、ふと、解決策を見つけます。それは「軽蔑」という解決策でした。同級生を軽蔑することにより、心の中で彼らを殺していくのでした。 嫌なこととか、忘れたいこととか、恥ずかしかったこととか、悲しい思い出とか、そういうものの処理の仕方を教えてくれたのがこの「風葬の教室」でした。あ、そっか、私も「風葬の教室」を作ればいいんだぁ〜・・・と。 おかげで私の中の「風葬の教室」にも死体がごろごろ転がっています(笑) こまわりくんでいう、「死刑」 みたいな。吉本ばななさんの「哀しい予感」でいう、「なかったこと」にされた物たちみたいな。 小川洋子さんの「薬指の標本」でいう、数々の標本みたいな。 こんな本が500円ちょっとで買えるんだから、いい時代に生まれたなあと思う、今日この頃なのでした。 蝶々の纏足・風葬の教室 (新潮文庫)
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